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世界開発報告をみると、低所得国ほどGNPの成長率が低く、しかも一人あたりのそれもマイナスである傾向がある。
これはGNPがあまり増えないのに、それを大きく上回る率で人口が増加しているためである。 そこでこれらの国では、何よりもまず、人口増加を抑える必要がある。
しかし、これまでの人口増加傾向を変えることは大変だ。 先進国からの援助、とくに技術人員や資金を提供してもらって家族計画を実施する必要がある。

もちろん援助はそればかりでなく、医療や教育、農業の基盤整備も急務である。 つまり低所得国ではマイナス成長の要因を除去して、安定した経済状態に戻すことが肝要である。
これが成功すると将来の発展に備えて、基盤を整備する段階になる。 政治を安定させ、教育施設を普及し人的資源の開発に努める。
これはソフト・インフラストラクチャーの建設と呼ばれるものである。 ソフトと一緒にハ−ド・インフラの建設も重要だ。
たとえば、道路、鉄道、港湾を整備したり、エネルギーの供給システムを確立することがこれに相当する。 こうした段階が進むと、産業の育成が重点になってくる。
もっとも、文字を知らない人が大勢いるようなところで、一挙に航空宇宙産業の育成をはかるというのは無理がある。 その国にとってもっとも適した産業をどう育成するかという正しい産業政策が求められる。
そのさい、アジアNIESのように、圏内市場が小さい場合、外国貿易を発展させるというのも一つの方策であろう。 また低開発国の強みは安い賃金にあるのだから、これを提供すれば、先進国からの直接投資が入ってきて、優れた技術やノウハウも蓄積されていく。
つまり低開発国が発展するかしないかは、そのときどきの経済水準に応じて、これら一連の政策と援助とをどう有機的に、効果的に組み合わせていくかにかかっている。 また、その国の伝統・文化・宗教・社会が経済発展に対し肯定的なものかどうかという問題もある。
ある国の経済が発展していく過程をとらえるとき、ちょうど階段を駆け上がるときのように第一段階、第二段階、と区分できないだろうか。 こうした発想から最初に段階説を展開したのはドイツのFという学者だとされている。
彼は産業の発展はちょうど赤ん坊が成人になるようなものだと考えた。 赤ん坊、つまり幼稚な産業の段階では、みんなで保護する必要がある。

その産業製品と同じ安い製品が海外から入つできたりすると、消費者は安い方を購入して、その産業は発展できなくなる。 そこで、この段階では、輸入の数量制限をしたり高い関税をかけるといった保護貿易政策が必要になる。
次に、幼稚産業が次第に成長して成人になると、それは成熟産業である。 この段階では、生産効率もよくなってより品質の高いものをより安い価格で生産できるようになる。
こうなると、もう自由に外国と貿易をしてもいいだけの力がついてくるというわけである。 リストのあとに発表された段階説のなかでもっとも有名なものにWという米国の学者が唱えた五段階説がある。
彼は、工学や歴史学をはじめ幅広い分野の視点から経済発展をとらえようとした。 そして、経済発展の過程を、飛行機が滑走路を走り空へ舞い上がっていくときの工学的な過程にたとえればうまく整理できることに着目したのである。
ロストウの五段階とはおよそ次のとおりである。 まず、滑走路がまだできあがっていない状態、これを付伝統的社会、滑走路ができてそのうえを走り始めた状態、これを離陸への先行条件の段階、同離陸、つまりテイクオフの段階、そしてその後どんどん高度を上けている状態、これを岡成熟に向けてのドライブの段階、高度一万メートルあたりで安定飛行に入った状態。

これを伺高度大衆消費段階、と各段階が明確に区分されている。 この五つの段階でいちばん肝心なのは三番目のテイクオフであろう。
飛行機の場合でも、この瞬間はエンジンをフル回転させていなければならない。 経済の場合にも、GNPの五%以下だった投資が一O%以上へと急上昇すること、工業部門が高い成長率で発展していること、政治や社会の制度がしっかりしていること、この三つの条件が揃つてはじめてテイクオフは可能になる、とRは主張した。
Rの段階説は、非常にわかりやすいために世界中で注目を集め、現在も開発経済学の分野ではしばしば引用される。 またこの段階説が、資本主義体制は結局は失敗するとしたM主義経済学に対する強力な反論となっていることも、受け入れられた理由の一つであった。
しかし、Rの主張の一部が曲解され、投資さえ増やせば離陸できると考えた低開発国の指導者や先進国の援助担当者が、莫大な資金を低開発国にどんどん融資したはいいが、その他の条件が不備であったがために結局は発展ができず、借金だけが残るといった弊害をもたらしている面もある。 低開発国や発展途上国と先進国とのあいだの経済格差や貿易の不均衡、つまり南北問題を改善することは、世界経済に課せられた最大の難題の一つである。
先進国が植民地主義的な発想で搾取同然の貿易取引や経済進出をつづけ、途上国の方もそれに甘んじているようではこの問題はげつして解決しないどころか、ますます悪化の一途をたどる。 生産活動を促進して経済を発展させるためにはまず、もっとも基本的な生産要素である土地、労働、資本の状態が問題になる。
また近代的工業生産については、この三要素に加えてエネルギーと技術も本源的である。 発展途上地域の場合は少なくとも土地と労働力だ付は潤沢である。
エネルギー源にも恵まれた地域が多い。 したがって、最大の問題は資本と生産技術にある場合が多い。
そこで、世界銀行やUNCTADなどの国際機関による経済援助も、ODAに代表される政府レベルの援助も、さらには民間企業による直接投資にいたっても、先進国側からの経済援助はこの資本力の増強と技術水準の向上がメインになっている。 しかし、先進国も一方的に援助ばかりしているわけにはいかない。
そこで、資金や技術を提供する側にもメリットのある経済開発の方法として「開発輸入」という方式ができあがった。 開発輸入とは文字どおり、経済開発と輸入とを両立させることである。
開発されるのはも経済開発、これからどうなる。 ちろん途上国経済であり、輸入するのは先進国の企業である。

したがって開発輸入は直接投資の一つの形態でもある。 これにより、企業側は安い土地と労働力を利用して生産コストを大幅に削減できる。
一方、途上国は資本設備や最新鋭の技術をほぼただ同然で手にすることができる。 当初は資源開発や農林水産の生産業が主体であった開発輸入も、近年は工業生産中心に変わっている。
日本企業の場合は、急激な円高が大きな圧力となって直接投資が大幅に増えたが、開発輸入にかぎっていえば、大手スーパーのような生産設備の比較的貧弱な小売業や卸売業で普及しつつある点が特徴的である。 素材、品質、デザインなどに関する仕様書に基づいて現地の工場に生産を委託し、完成品を日本に輸入して自社庖舗で販売する。
このところの傾向としては、衣料品や食品といった生活必需度が高く廉価な商品が大半を占めていたが、最近は高度な技術を要する商品とかファッション性の強い商品など、より付加価値の高い分野も対象とするようになっている。

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